世界中で愛されるインド紅茶の中で、『シッキム』という名前はご存じですか?
インド紅茶の中でも、紅茶愛好家によく知られ、一般にはあまり知られていない紅茶。
残念ながら日本で飲む機会はあまりありません。
年間生産量は約100トン。
そのほとんどは、プライベート・セールで販売されています。
※ちなみに、ダージリンの生産量は年間1万トンです。
その希少さから「幻の紅茶」とも言われるシッキムは、どのような紅茶なのでしょうか。
味わいや特徴を、その歴史も交えて解説していきます。
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時間がない方は、まとめでざっくり理解しちゃいましょう!
この記事のまとめ
- 幻の紅茶と呼ばれる。
- シッキム州唯一茶園、テミ茶園でのみ作られる。
- オーガニック栽培された紅茶。
- ダージリンと同様に、クオリティーシーズンが年3回。
Page Contents
シッキムの特徴
シッキムはインドの北東、ブータンに隣接するヒマラ山脈のふもとに位置します。
ヒマラヤ周辺には100を超える川や氷河があり、多くの山々が連なる自然に恵まれた土地です。
ですが、紅茶の栽培という点においては、岩石が多く、農業に向かない地と考えられています。
シッキム州
ダージリンとチベットの中間に位置し、かつてシッキム王国が存在した場所が、シッキム州です。
シッキム王国は、1642年に設立され、1975年に国民投票により併合が望まれたため、300年以上の歴史に幕を下ろしました。
併合後、インド22番目の州となっています。
美しい山々と、ネパール、ブータン、チベット、ダージリンに囲まれており、かつてはチベットの玄関口として交流が盛んでした。
インド州でありながら、様々な文化の交流地点であり、独自の雰囲気を持っています。
シッキム唯一の茶園
シッキム州には茶園が一つしかありません。それが「テミ茶園」。
南地区テミ地方にあり、シッキム州唯一の茶園であり、「インド政府が唯一運営している茶園」でもあります。
テミ茶園の始まりは、1969年、当時の王様が440エーカーの土地を開拓し、人々に働き場所を提供したことがきっかけです。
現在でも、約500人の労働者に加え、季節により100人以上の臨時労働者の仕事を支えています。
インド内においても水準以上の給料と、託児施設や医療体制といった福利厚生が充実しています。
元々は、テミ茶園で作られていた紅茶はダージリンとして出荷されていました。
ですが、近年、質の高い茶葉を生産していることが評価・注目され、シッキムとして有名になったのです。
オーガニック農法への取り組み
テミ茶園では、2005年からオーガニック農法への取り組みをはじめ、2008年には、茶園全体でオーガニック農法を採用しています。
州全体がオーガニックに切り替わることは、インドでも珍しく、シッキムがいかにオーガニックへ力を入れているかが分かります。
ポイント
シッキムはフェアトレード生産者でもあります。
シッキムの風味と水色、クオリティーシーズン
風味と水色
水色は、美しいレモン色。
立地的にダージリンに近いこともあり、香りはマスカットフレーバーを感じます。
スッキリとした口当たりは、わずかにストラスを感じさせるもので、まろやかなで透明感のある風味が特徴です。
なにかとダージリンと比較されますが、大きく異なる点は渋み。
直線的な渋みをもつダージリンに対し、シッキムは丸みを帯びた、柔らかい渋みがあります。
ダージリンの渋みが苦手な方は、シッキムを一度飲んでみてください。
また、シッキムは抽出時間を重ねると違うキャラクターが顔を出してくる紅茶です。
水色は、セピア色に。香りは甘みがあり、落ち着いた味わいになります。
この風味の深さも愛好家に愛される理由の一つでしょうか。
クオリティーシーズン
シッキムは3月~11月が収穫時期。基本的に冬には収穫されません。
クオリティーシーズンは、ダージリン同様、年3回訪れます。
- 春:ファーストフラッシュ
- 夏:セカンドフラッシュ
- 秋:オータムナル
ファーストフラッシュ
- 収穫時期:3月~4月
- 爽やかで花を思わせる香りが特徴
- マイルドな口当たり
セカンドフラッシュ
- 収穫時期:5月~6月
- 最も高品質と評価される
- マスカットフレーバーを感じ、バランスの良い味わい
- しっかりとしたコクを感じる
オータムナル
- 収穫時期:10月~11月
- 最も花の香りを感じるフレーバー
- 重厚感のある強い味とコク
美味しい飲み方
ストレート
希少なシッキムはストレートがおすすめ。
それぞれのシーズンで、ストレートの良さがあります。
シッキムはワインのように、年によって味わいが異なります。
同シーズンであっても、甘みが強い年もあれば、重厚なコクと渋みがある年もあります。
シッキムの魅力を楽しむためにも、まずはストレートで味わいましょう。
アイスティー
すっきりとした飲み口のセカンドフラッシュなら、アイスティーもおすすめ。
まろやかな風味と花の香りがアイスティーにマッチします。
オンザロック方式で是非味わってみてください。
幻の紅茶シッキムの魅力
今回は幻の紅茶『シッキム』について解説しました。
インド紅茶では、ダージリンやアッサム、ニルギリが高い知名度を誇りますが、他にも素晴らしい紅茶があります。
種類によって特徴やキャラクターがまるで違うことが、インド紅茶の魅力。
シッキムやドアーズと言った、有名でない銘茶を知ることで更なる魅力に迫れます。
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